大阪府立高校の進路データから見る年内入試の現状

近年、大学入試では「年内入試」の存在感が非常に大きくなっています。

年内入試とは、主に秋から冬にかけて実施される総合型選抜学校推薦型選抜・公募推薦のことです。
保護者の方からも、

「総合型推薦は受けた方がいいですか?」
「公募推薦で先に合格を取れますか?」
「一般入試よりも推薦の方が簡単ですか?」

というご相談を受けることが増えています。

そこで今回は、大阪府立高校の進路状況資料をもとに、総合型推薦と公募推薦を分けて分析しました。

結論から言うと、現在の公募推薦・総合型推薦は、決して「楽に受かる入試」ではありません。
特に近畿大学・龍谷大学・甲南大学などの公募推薦は、かなり厳しい結果が出ています。

飛田

根拠は進路資料ですが、考えは全て私の批評(妄想)です。学校の方針と相容れないかもしれませんが、こんな考えもあるんだ!と考えの一つにしてもらえれば幸いです

総合型推薦と公募推薦はまったく別物

まず大前提として、総合型推薦公募推薦は分けて考える必要があります。

総合型推薦は、志望理由書・面接・小論文・活動実績・探究活動などが重視される入試です。
大学によっては学力試験もありますが、基本的には「なぜその大学・学部で学びたいのか」を深く問われる入試です。

一方で、公募推薦は、評定平均などの出願条件に加えて、英語・国語・数学などの基礎学力試験で合否が決まることが多い入試です。
特に関西の私立大学では、公募推薦といっても実質的にはかなり学力勝負になっています。

つまり、

総合型推薦=志望理由・活動実績・面接適性が重要
公募推薦=一般入試に近い学力勝負

と考えた方が実態に近いです。

高校別に見た総合型推薦と公募推薦の合格率

今回の資料から、池田高校・北千里高校・桜塚高校のデータを整理すると、次のようになります。
なお、ここでの合格率は「合格者数÷受験者数」の延べ人数ベースです。指定校推薦は除外しています。

高校総合型推薦合格率公募推薦合格率
池田高校12/2450.0%290/62046.8%
北千里高校5/1241.7%364/98337.0%
桜塚高校3/475.0%150/83018.1%

この表を見ると、総合型推薦の合格率は比較的高く見えます。
しかし、総合型推薦はそもそも受験者数が少ないため、単純に「総合型は受かりやすい」と考えるのは危険です。

総合型推薦は、出願する段階である程度生徒が絞られています。
評定、活動実績、志望理由、面接への適性などがある生徒が受けるため、合格率が高く見えやすい面があります。

一方、公募推薦は受験者数が非常に多く、倍率も一般入試と比べて高い場合がほとんどです。さらに現役生にとって難易度を上げているるもう一つの理由は浪人生が受験が出来るということです。

私の塾では常々関関同立に合格しければ、公募推薦は受けるな。と生徒たちに伝えています。

その最大の理由が産近甲龍には浪人生が受験するので現役生が勝負するには条件が悪すぎるからです。


公募推薦で特に厳しいのは近畿大学・龍谷大学・甲南大学

公募推薦の結果を大学別に見ると、厳しさがよく分かります。

大学池田高校北千里高校桜塚高校3校合計
近畿大学64/180=35.6%66/252=26.2%56/413=13.6%186/845=22.0%
龍谷大学24/103=23.3%67/278=24.1%76/314=24.2%167/695=24.0%
京都産業大学18/26=69.2%22/60=36.7%6/36=16.7%46/122=37.7%
甲南大学13/34=38.2%0/11=0.0%9/62=14.5%22/107=20.6%

特に注目すべきなのは、近畿大学と龍谷大学です。

近畿大学の公募推薦は、3校合計で186/845、合格率22.0%です。
龍谷大学も、3校合計で167/695、合格率24.0%
です。

つまり、近大や龍谷の公募推薦は、「年内にとりあえず受けておけば合格できる入試」ではありません。

むしろ、一般入試の前にあるもう一つの本番と考えるべきです。

加えて受験してしまえばほぼ必ず文系の生徒たちは社会科目が間に合わなくなります。

また産近甲龍が最終ゴールであれば受けても良いのでは?と考えられますが、そんなに現実は容易ではなく

この公募に合格できるのは関関同立受験を考えており、関関同立に合格出来るレベルの学力層も混じっているので産近甲龍合格を目指す生徒には合格するための条件が揃っていないと思います。

龍谷大学の公募推薦は高校差が小さい

今回のデータで非常に興味深いのが、龍谷大学の公募推薦です。

高校龍谷大学 公募推薦
池田高校24/103=23.3%
北千里高校67/278=24.1%
桜塚高校76/314=24.2%

3校とも、合格率がほぼ23〜24%で揃っています。

これは、高校ごとの差というよりも、龍谷大学の公募推薦そのものが安定して難しいと考えた方がよいでしょう。

龍谷大学を公募推薦で受ける場合、しっかりと過去問対策を行い、英語・国語などの基礎学力を十分に仕上げておく必要があります。


年内合格を狙いやすい大学もある

一方で、公募推薦をうまく使えば、年内に合格を確保しやすい大学もあります。

3校合計で見ると、比較的合格率が高かった大学は次の通りです。

大学公募推薦 3校合計
京都女子大学37/44=84.1%
大阪工業大学27/35=77.1%
摂南大学49/84=58.3%
追手門学院大学71/123=57.7%
大和大学41/75=54.7%
同志社女子大学12/22=54.5%
武庫川女子大学36/74=48.6%
関西外国語大学25/52=48.1%

もちろん、これらの大学も「誰でも受かる」という意味ではありません。
学部や方式によって難易度は変わります。

しかし、近畿大学・龍谷大学・甲南大学だけで公募推薦を組むよりも、摂南大学・追手門学院大学・大和大学・大阪工業大学・京都女子大学・武庫川女子大学などを組み合わせた方が、年内合格の可能性は高くなります。

公募推薦を受ける場合は、第一志望への挑戦だけでなく、年内に合格を確保する大学も含めて出願戦略を立てることが重要です。


総合型推薦は「全員向け」ではない

総合型推薦についても、合格率だけを見ると魅力的に見えます。

しかし、総合型推薦は全員に向いている入試ではありません。

総合型推薦に向いているのは、次のような生徒です。

評定がある程度取れている。
志望理由が明確である。
高校生活で取り組んできた活動や探究テーマがある。
面接で自分の考えを話せる。
小論文やプレゼンに取り組む意欲がある。

逆に、志望理由が曖昧な生徒や、面接で話す材料が少ない生徒にとっては、総合型推薦はかなり負担が大きくなります。

総合型推薦は「早く決まる入試」ではありますが、「楽な入試」ではありません。
準備には時間がかかりますし、出願書類の完成度も問われます。


公募推薦は一般入試の前哨戦ではなく、本番である

公募推薦については、特に注意が必要です。

「推薦」という名前がついているため、保護者の方や生徒の中には、一般入試よりも簡単だと考える方もいます。
しかし、関西私大の公募推薦は、実際にはかなり学力勝負です。

近畿大学・龍谷大学・甲南大学の公募推薦の合格率を見ると、20%台前半の大学もあります。
これは決して簡単な数字ではありません。

公募推薦は、一般入試の前に一度チャンスが増える入試ではあります。
しかし、準備不足のまま受けても、簡単に合格できるわけではありません。

特に英語・国語の基礎学力が不足している場合、公募推薦でも一般入試でも苦戦します。


年内入試をどう使うべきか

では、公募推薦や総合型推薦はどのように使うべきでしょうか。

大切なのは、総合型推薦・公募推薦・一般入試を別々に考えすぎないことです。

総合型推薦は、評定や活動実績、志望理由がある生徒にとっては大きなチャンスです。
公募推薦は、年内に合格を確保するための重要な入試です。
一般入試は、最後まで学力を伸ばして第一志望に挑戦するための本線です。

つまり、年内入試は「一般入試から逃げるための入試」ではありません。

むしろ、志望大学が公募入試を実施しており一般入試に向けて英語・国語などの基礎学力を高めながら、その途中で公募推薦にも挑戦するという考え方が現実的です。


まとめ

今回の進路データから分かることは、次の通りです。

総合型推薦は、受験者数が少なく、評定・活動実績・志望理由がある生徒向きです。
公募推薦は、多くの生徒が利用する年内入試ですが、大学によってはかなり厳しいです。
近畿大学・龍谷大学・甲南大学の公募推薦は、決して安全校とは言えません。
一方で、摂南大学・追手門学院大学・大和大学・大阪工業大学・京都女子大学・武庫川女子大学などは、出願戦略次第で年内合格を狙いやすい大学です。

公募推薦・総合型推薦は、「楽に合格するための入試」ではありません。
正しく使えばチャンスになりますが、準備不足のまま受けると、貴重な受験機会を失ってしまいます。

大切なのは、早い時期から志望校を考え、英語・国語などの基礎学力を固め、総合型推薦・公募推薦・一般入試を一体として戦略的に考えることです。

年内入試をうまく使えるかどうかは、受験全体の結果に大きく影響します。
だからこそ、「推薦だから簡単」と考えるのではなく、早めに準備を始めることが重要です。